
『夜は短かし』:エゾモモンガ
気づいているのだろうか。
刻々と、
陽の入りが遅くなっていることに。

『春の息吹』
木枯らしはやんだ。
溶けた雪は湿原となり、
屍は緑となる。


『Microcosmos』:キタサンショウウオ・エゾアカガエル
小宇宙。
それは産み落とされた、
生命のみなもとであった。

『鳴動』:ジムグリ
カタクリの花をかき分けるように、
半年ぶりの大地を嗜む蛇。

『新芽の呼吸』
春の朝。
冷たい空気を吸い込むとき、
遠くで彼らも、息をしている。

『森の宝石』:オオルリオサムシ
ニリンソウが咲く頃。
陽光を浴びた甲虫が、
虹をまとい歩き出す。

『芽生え』:ヤマゲラ
皆、土に帰る。
新たないのちの一部となるために。

『Flow of time』
苔に乗る殻はどこからきたのか。
清流の音と、エゾハルゼミの声がこだまする。

『宝物』:エゾフクロウ
夢中で獲物を運ぶ母フクロウ。
お互いの目と目が愛を語るひと時。

『IN MY BLOOD』:コエゾゼミ
夏の始まり。
伸ばしきった翅は木漏れ日に照らされ、
脈を打っていた。

『Lost In Hokkaido』
彼らは地球とひとつだった。

『Take off』:ウスバキチョウ
三度目の夏。
やっとの思いで羽を得た彼らの、
ひと時の躍動。

『夏潮』:トド
身体はゆっくりと、
海へ大地へ染み渡る。

『SOLDIER』:ハリオアマツバメ
彼らに見えているものとは
一体なんだろう。
鳴き声たちが、空に響いた。
『海に抱かれて』: ヒグマ
夏の海、かけがえのない日々。
何千年の歴史が
彼らを強く、大きくする。

『ORORON LINE』: ウミガラス
三羽のオロロン鳥。
少し先、北海道の未来を魅せてくれた。
『はまなす紅く色づく頃』
紅色に染まった大きな実が、
夕暮れの海岸に
秋の訪れを知らせている。

『IN TERRA』:オオセグロカモメ
撮るたびに思い出す。
僕たちはちっぽけな子供であった。

『Who Will Know 』:エゾサンショウウオ
人知れず水辺を離れる一匹の幼体。
小さな体の、大きな期待。

『Bug's Alive』: エゾアカヤマアリ・エゾアカヤマアリヤドリコマユバチ
襲う、襲われる。
地表から数ミリ世界にある、
確かな死闘。

『森の偶像』:シマフクロウ
西陽は秋草を照らし、
逆光の中、巨体を浮かび上がらせた。

『みのり。』: エゾシマリス
冬眠を備える一頭のシマリス。
懸命にもみじの種を頬張るすがたに
「また来年」とつぶやいた。

『ミニチュア』:ゴレツミズゴケ
小さな森は、
強く深く、秋を彩っていた。

『冬がはじまるよ。』:エゾクロテン
ナキウサギの声がやんだとき、
“それ”は姿をあらわした。

『野生の眼差し』:エゾヤチネズミ
今日も限られたみどりを求めて、
枯葉駆ける音とともに。

『きこえる。』
猛吹雪の翌日。
一様に雪化粧した木々の中を、
いつものように飛び交う鳥たち。

『火の玉』:ミヤマカケス
晴れた日の夕方。
太陽を浴び、冷えた体を暖めていた。

『漂泊の絆』:ラッコ
生まれたその時から、
ともにさすらう。

『池凍る朝』
溶ける時を
じっと待っている。

『LAST DANCE』:エゾシカ
氷の上を物ともしないのは、
道を知っているから。

『Life Of Wetlands』:タンチョウ
これまでもこれからも、
北海道を証明する者として
彼らは生きていく。
『野生の片鱗』: シマエナガ
森の中に響く
軽やかな歌声とは裏腹の、
その鋭い鉤爪。
『隻眼の狩人』: キタキツネ
冬のある日。
海岸で出会った一匹狼の眼からは、
北国の厳しさを感じた。

『ON THE ROAD』
氷の上にいた時間は、
彼ら個々の時間軸。